琳派の精華 −巨匠たちの競演−

 
第2展示室
  平成21年8月27日(木)〜9月23日(日) 会期中無休     


 ご存知のように「琳派」という名称は、尾形光琳の名前に由来します。しかし琳派の様式は、光琳に先立つ本阿弥光悦や俵屋宗達らによって確立されました。彼らがまず目指したのは、法華宗徒として法華経が説く作善、すなわち金銀など善美を尽くした造形は功徳となるとの教えを実践することでした。 琳派が平安時代、特に末法思想を反映した12世紀後半の王朝風美意識を復興したといわれるゆえんも、こうした法華信仰から理解することができます。
  そして琳派のもう一つの特徴は、能楽や茶の湯、連歌など室町時代から江戸時代にかけて発達した芸道との関わりです。それは一言でいえば趣向性です。俵屋宗達や尾形光琳の作品には、すべてを描ききらないある種抽象性を感じさせる作品が多く見られます。そこで、鑑賞者にはその深意を読み解くことが求められます。世阿弥は『風姿花伝』で“見る人のため、花ぞともしらでこそ、為手の花にはなるべけれ”と述べています。つまり鑑賞者が、ただ面白いとか綺麗だと感ずるその所に、深い作意を反映させようという作者の美学です。それゆえ琳派の親しみやすさや分かりやすさには要注意なのです。
 今回は、光悦、宗達、光琳とその弟尾形乾山と、宗達の後継者としてその様式を光琳に伝えた俵屋宗雪、喜多川相説による書跡、絵画、陶芸、漆芸作品十点(うち県指定文化財六点)を展示します。多ジャンルにわたる巨匠たちの競演を是非ご堪能ください。

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番号
指定 作品名 作者名  年代
1
 
和歌扇面画賛
本阿弥光悦
江戸17世紀
2
 
赤楽茶碗 銘山科
伝 本阿弥光悦
江戸17世紀
3
県文
光悦色紙貼交秋草図
本阿弥光悦
江戸17世紀
4
県文
槇檜図
俵屋宗達
江戸17世紀
5
県文
群鶴図
俵屋宗雪
江戸17世紀
6
県文
秋草図
喜多川相説
江戸17世紀
7
県文
蒔絵螺鈿白楽天図硯箱
尾形光琳
江戸18世紀
8
県文
蒔絵螺鈿野々宮図硯箱
尾形光琳
江戸18世紀
9
 
色絵武蔵野図片口水指
尾形乾山
江戸18世紀
10
 
銹絵雪笹図鉢
尾形乾山
江戸18世紀

番号
指定  作品名
1
県文
色絵布袋図平鉢
2
県文
色絵鳳凰図平鉢
3
県文
色絵鶉草花図平鉢
4
県文
色絵鶴かるた文平鉢
5
 
色絵牡丹文平鉢
6
 
色絵石畳双鳳文平鉢
7
県文
色絵百花散双鳥図平鉢
8
 
青手牡丹図平鉢
9
 
青手老松図平鉢
10
県文
青手樹木図平鉢
11
県文
青手桜花散文平鉢
12
 
青手葡萄図平鉢