特集 南政善−生誕100年   

 
第3展示室
  平成21年4月25日(日)〜6月1日(月) 会期中無休     

 館蔵品の油彩、素描による南政善の特集展示を開催します。南は明治四十一年石川県羽咋郡志賀町に生まれました。羽咋中学卒業後、東京美術学校油画科に入学し、在学中の昭和九年に第十五回帝展に初入選。十年に卒業。この年の秋、文部省による帝展改組が起き、美術界は大混乱を来たします。改組に反対した洋画家の旧帝展会員達は第二部会を結成して対抗すると、南はここに「アコーディオン」(当館蔵)を出品し、特選と朝日文化賞を受賞、一躍若手官展系のホープと目されることになるのです。
 この南の一歳上に高光一也、三歳上に宮本三郎がいます。いずれも石川洋画を代表する画家達で、年齢も拮抗し、互いに強い意識を持ったと思われます。三人は十年の帝展改組時に、画壇に強烈な印象を与えて登場し、またそろって人物画の名手で、そのため従軍画家として戦地に駆り出されることになるのでした。
 しかし作風は違います。南は唯一の美術学校出であり、藤島武二に薫陶を受けています。色と形による造形を常に念頭におき、写実を基本として人物を描きます。戦後の抽象画全盛期にあって、画家は作風を変化させるのですが、南はまったく動じません。ちょっと例を見ないくらいに一本道を進んでいます。今回の特集では、その不動の歩みをご覧いただきたく思います。

油彩画
  作品名 制作年 初出展受賞
1 アコーディオン 昭和10年 第二部会展 特選・朝日文化賞
2 馬ならぶ 昭和11年 昭和11年文展鑑査展
3 霜鬢 昭和16年 第4回新文展 特選
4 黒いタイツ 昭和26年 第37回光風会展
5 黒いセーターの女 昭和26年  
6 インドネシアの女 昭和29年 第10回日展
7 印度の女 昭和31年 第12回日展
8 ドクターY氏 昭和31年  
9 フィリピンの女 昭和32年  
10 舞台裏 昭和33年 第1回新日展
11 黒い帽子 昭和35年 第14回新樹会展
12 舞台監督O氏 昭和35年 第3回新日展
13 山高帽の男 昭和35年 第14回新樹会展
14 肘をつく女 昭和37年 第5回新日展
15 青いセーターの女 昭和37年  
16 マレーシアの男 昭和39年 第7回新日展
17 印度の踊子 昭和43年 第54回光風会展
18 白眉 昭和43年 第11回新日展
19 若い男 昭和45年 第24回新樹会展
20 蝙蝠 昭和47年 第58回光風会展
21 ソンブレロ 昭和50年 第61回光風会展
22 バリ島の踊り 昭和50年 第7回改組日展
23 バリの踊り 昭和51年 第62回光風会展
水彩・素描
1 自画像 昭和6年頃  
2 毛皮のコート 昭和9年  
3 アコーディオン 昭和10年  
4 競走馬 昭和11年  
5 馬ならぶ 昭和11年  
6 中国従軍スケッチ 昭和13年  
7 沈丁花 昭和23年  
8 婦人像 昭和23年  
9 ミセス・タンダン 昭和31年  
10 東京タワー 昭和36年  
11 東京タワー 昭和36年  
ページの最初へ異動前のページへ