大名の嗜み −茶の湯と文房具−   

 
前田育徳会尊經閣文庫分館
  平成22年1月4日(月)〜2月7日(日) 会期中無休     


  前田家では藩祖利家以来、代々の藩主は茶の湯に深く心を寄せています。利家は千利休や織田有楽に、二代利長は利休と高山右近に茶の湯を学んでいます。三代利常は小堀遠州と親しく交わり、茶の湯をはじめ、名物裂収集等に多大な影響が確認されます。四代光高も父とともに遠州に茶の湯を学び、一方金森宗和の子七之助に始まる代々を前田家が召し抱えたことから、加賀は宗和流発祥の地ともいわれます。さらに千家三代宗旦の子で裏千家流祖の仙叟宗室は、茶堂として利常や五代綱紀に仕えました。このように加賀は、茶の湯をはじめ様々な芸道の盛んな地域として、その伝統は今日に脈々と続いています。
 今回の展示では、茶道具に文房具を合わせて展示しますが、「綺麗さび」と呼ばれる美意識の茶の湯を確立した遠州の大名茶において書院飾りとして、遠州が崇拝した藤原定家書写による古典文学の詩文とともに、文房具が飾られました。そこには中国の文人思想を背景とした文化の成立が認められます。
  前田育徳会が蔵する文房具は遠州や利常の収集品が多く、茶道具や名物裂とともに、両者の精神文化の共感ともいえる世界が反映されています。
  茶道具に名物裂や文房具など約50点の展示ですが、同時開催の「茶道美術名品撰」(第2展示室)とあわせてご鑑賞いただき、新春のひと時をお過ごし下さい。


No. 作品名 筆者 時代 員数
1 千利休書状 千 利休 桃山16世紀 1幅
2 一休宗純墨蹟 一休宗純 室町15世紀 1幅
3 古田織部書状 古田織部 桃山16〜17世紀 1幅
4 胞輪天神画像   室町16世紀 1幅
5 縄敷天神画像   室町16世紀 1幅
6 松下飲虎図     1幅
7 瑪瑙石硯   宋10〜13世紀 1個
8 重玄硯     1個
9 七宝硯屏   明14〜17世紀 1個
10 阿蘭陀筆軸(高麗塗軸筆)     1個
11 銅シレズ成筆架     1個
12 瑪瑙石獅子筆架   明14〜17世紀 1個
13 銅獅子筆架   明14〜17世紀 1個
14 白玉雲龍彫墨床     1個
15 紫檀象眼玉入墨床     1個
16 銅玉取獅子文鎮   明14〜17世紀 1個
17 銅福禄寿文鎮     1個
18 銅蟹文鎮     3個
19 真鍮大卦算     1個
20 鼈甲製梅彫卦算     1個
21 銅鍍金翡翠形水滴   明14〜17世紀 1個
22 白高麗上手水入     1個
23 白磁秋海棠式筆点     1個
24 白玉水滴     1個
25 青貝丸形四重印篭   明14〜17世紀 1合
26 青貝四角三重印篭     1合
27 青貝蓮唐草文庫   明14〜17世紀 1合
28 双鳳丸文様金襴(二人静金襴)   宋10〜13世紀 1枚
29 作土形花兎文様金襴(角倉金襴)   宋10〜13世紀 1枚
30 入子菱繋ぎ地二重蔓牡丹唐草文様金地金襴   明14〜17世紀 1枚
31 花葉松毬唐草文様緞子(笹蔓緞子)   明14〜17世紀 1枚
32 竜三爪唐草文様緞子(珠光緞子)   明14〜17世紀 1枚
33 花七宝入り石畳文様緞子(遠州緞子)   明14〜17世紀 1枚
34 流水梅花文様緞子(織部緞子)   明14〜17世紀 1枚
35 段文様間道(日野間道)   明14〜17世紀 1枚
36 縞格子文様間道(船越間道)   明14〜17世紀 1枚
37 古瀬戸茶入 銘 孫六   室町14世紀 1口
38 玳皮盞天目茶碗(梅花天目)   南宋13世紀 1口
39 名物 尼ケ崎台   明14〜17世紀 1基
40 龍宝棗   昭和8年(1933) 1合
41 龍宝大棗   昭和8年(1933) 1合
42 平棗   昭和8年(1933) 1合
43 存星香合   明14〜17世紀 1合
44 堆朱香合   明14〜17世紀 1合
45 堆朱雲月布袋香合   明14〜17世紀 1合
46 螺鈿舟人物香合   明14〜17世紀 1合
47 瀬戸花入   江戸17世紀 1口
48 茶壷 銘 春の日   明14〜17世紀 1口
49 砂張銅鑼   魚住為楽   昭和15年(1940) 1個
50 唐茶臼   明14〜17世紀 1個
51 唐物箔絵山水人物図筆箱     1合
52 青貝菓子盆   明16〜17世紀 5枚
53 朱塗梅形菓子盆   明16〜17世紀 3枚

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