現代日本洋画壇の第一人者脇田和氏は、鳥と子供を題材に、詩情豊かな作品を描き続けて来ました。その至純というべき世界は、深く温かい感動を観るものに与えます。 明治41年、金沢出身の実業家脇田勇の次男として、東京青山に生まれた脇田氏は、15歳でドイツ・ベルリンに留学し、8年間絵画や各種の版画技法など美術全般にわたって研鑚を積みました。帰国後は戦前の洋画壇に頭角を現し、昭和11年、猪熊弦一郎、小磯良平らと新制作派協会を創立して、以後、常に具象絵画の第一線にあって画壇をリードして来ました。抒情であると同時に堅固な構成を持つ氏の作品は、情と智とが高いレベルで融合し、その融通無碍の世界は様々な世代から幅広い支持を得ています。 本展では脇田氏自身が軽井沢に築かれた脇田美術館の協力のもと、初期から近作までの油彩、水彩、素描、版画等の代表作137点を一堂に集め、その70年を越える芸術の軌跡をご覧いただきます。 なお、明治維新前、脇田家は加賀藩前田家藩士として金沢に居を構え、町奉行をつとめるなど代々活躍された家柄でした。その意味で、本県とのゆかりは深く、ここに故地金沢で初の展覧会を開催する運びとなりました。脇田芸術の叙情美あふれる優美・幽玄の世界を、存分にご堪能いただければ幸いです。 |
■主な展示作品
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