石川県は、日本海側の本州のほぼ中央部に位置し、歴史的あるいは芸術的に優れた貴重な文化財が数多く伝世されています。
日本海側に大きく突き出た能登地区は、大半が丘陵地で、また周囲が海であり、早くから日本海の海上交通により、大陸との接触が行われ開けた地域です。中世の仏教美術の遺品を色濃く残し、また桃山時代の画聖長谷川等伯を生み、歴史的な風土や文化を物語る文化財を特色としています。
一方、豊かな平野と白山で知られる加賀地区では、古代・中世において白山信仰の発展と拡がりを示し、また中央の社寺の荘園として開かれました。
それが戦国時代に一向一揆の嵐が激しく吹き荒れ、その戦火に巻き込まれ灰燼に帰したものも多く、ようやく近世に入り加賀藩主前田家によって、京都の公家文化を摂取した独特の武家文化の展開を背景に、収集・育成された文化財が数多く伝えられています。
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本館では、このような文化財、中でも美術工芸品を中心に収集活動を行い、また保存を目的として県内の社寺や個人の方々から寄託を受けているものも多くあります。
今年は文化財保護法が施行されてから50年という節目の年に当たり、それを記念して文化財保護法第48条にもとづく今年度の国宝・重要文化財の公開と、それに重要美術品や石川県指定文化財・金沢市指定文化財などを加え、館蔵品・寄託品の中から42点を、前期・後期の2回に分け展示します。
今回は、古九谷に関し、石川県指定文化財に指定されている6点のみの公開ですのでご承知願います。
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