前田育徳会展示室

特別陳列 婚礼調度と遊戯具

10月26日(木)〜11月26日(日)


 今回の展示は溶姫の婚礼調度と香道具を中心とした遊戯具です。溶姫の婚礼調度として前田育徳会に所蔵されているもののなかから、厨子棚をはじめ料紙箱、硯箱、歯黒箱、櫛箱など、20点を展示します。

 婚礼調度とは、婚礼の際に女性が嫁ぎ先へ持参する家紋と統一された意匠を施した、豪華な蒔絵装飾の嫁入道具です。その内容品は、三棚、貝桶、化粧道具、文房具、遊戯具、武具、飲食器、楽器など、その数量は膨大なものです。
 この婚礼調度は、11代将軍徳川家斉(いえなり)の21女階子(ともこ)すなわち溶姫が、13代前田斉泰(なりやす)に嫁いだ際のものです。松唐草を図案化した意匠と、徳川家の家紋である葵の紋が施されています。
 香は仏教とともに奈良時代にわが国に伝わり、室町時代頃より香道という日本独特の香りの文化の発生をみることになりました。足利義政の命で、三条西実隆を始祖として、志野宗信らによって玩香(がんこう)(香をたいて香りを楽しむこと)の法が定められ、芸道としての形式が整うと、様々な流派を生んで江戸時代にかけて流行するに至ったのでした。

 江戸時代に入ると組香(十ちゅう香(じっちゅうこう)を基礎として、香席で聞く香は、いくつかの種類の香を組み合わせたものを聞きわけるのが主で、その香の組み合わせをいう。 和歌、物語、漢詩、故事来歴などに取材し、3〜7種の香を組み合わせ、聞き当てるもので、代表的な組香に、源氏香、競馬香、宇治山香などがある。)が起こり、ゲーム的要素が顕著になります。
 今回展示する四種盤や桑十組(とくみ)盤などの盤立物はその一部です。

 さらには、美しい蒔絵が施された香割道具や組香に必要な各種の道具を納めた十種香箱などの香道具、その他の遊戯具として、碁盤と碁笥、将棋盤と将棋箱など10件を展示します。豪奢な大名の生活を感じとっていただければ幸いです。
 主な展示作品   

           葵紋蒔絵調度品 溶姫所用
           桑十組盤
           四種盤
           黒塗菊折枝蒔絵十種香箱
           黒塗秋草蒔絵香割道具
           梨子地木瓜形蝶蒔絵香箱
           業平菱牡丹紋散蒔絵碁盤
           業平菱牡丹紋散蒔絵将棋盤

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第2展示室

特別陳列 文化財保護法50年記念 石川県の名宝−国宝・重文・県文−

10月26日(木)〜11月26日(日)


 石川県は、日本海側の本州のほぼ中央部に位置し、歴史的あるいは芸術的に優れた貴重な文化財が数多く伝世されています。
 日本海側に大きく突き出た能登地区は、大半が丘陵地で、また周囲が海であり、早くから日本海の海上交通により、大陸との接触が行われ開けた地域です。中世の仏教美術の遺品を色濃く残し、また桃山時代の画聖長谷川等伯を生み、歴史的な風土や文化を物語る文化財を特色としています。
 一方、豊かな平野と白山で知られる加賀地区では、古代・中世において白山信仰の発展と拡がりを示し、また中央の社寺の荘園として開かれました。
 それが戦国時代に一向一揆の嵐が激しく吹き荒れ、その戦火に巻き込まれ灰燼に帰したものも多く、ようやく近世に入り加賀藩主前田家によって、京都の公家文化を摂取した独特の武家文化の展開を背景に、収集・育成された文化財が数多く伝えられています。

 本館では、このような文化財、中でも美術工芸品を中心に収集活動を行い、また保存を目的として県内の社寺や個人の方々から寄託を受けているものも多くあります。

 今年は文化財保護法が施行されてから50年という節目の年に当たり、それを記念して文化財保護法第48条にもとづく今年度の国宝・重要文化財の公開と、それに重要美術品や石川県指定文化財・金沢市指定文化財などを加え、館蔵品・寄託品の中から42点を、前期・後期の2回に分け展示します。
 
 今回は、古九谷に関し、石川県指定文化財に指定されている6点のみの公開ですのでご承知願います。

 主な展示作品   (は重要文化財、は重要美術品、石川県指定文化財)
    
       
太刀 銘備前國長船住長光 (白山比め神社蔵)
       
刀絵図      本阿弥光徳
       
後深草天皇宸翰御消息
       
親鸞聖人絵伝 (専称寺蔵)
       
十六羅漢図    (霊泉寺蔵) 長谷川信春
       
色絵布袋図平鉢 古九谷
      
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