本展は、館蔵品に寄託品を加え、4つの柱で構成、67点を一堂のもとに公開します。
◇室町時代を中心とした茶道具
この時代、日明貿易で中国から唐物(からもの)が請来(しょうらい)され、それらを部屋に飾り、鑑賞する唐物数寄すきの茶が行われました。やがて書院茶の風が成立し、また茶種を味別する闘(とう)茶を催す会なども行われました。それが一休宗純(そうじゅん)に参禅した村田珠光(しゅこう)によって、草庵による侘(わ)び茶の風が形成され、新しく和物の茶陶が茶席に取り上げられるようになり、その心は武野紹(じょうおう)により深められました。元時代の古銅柑子口花入(こどうこうじぐちはないれ)など5点を展示します。
◇桃山時代を中心とした茶道具
侘び茶は、桃山時代に千利休(せんのりきゅう)により大成され、禅林の墨跡や和物の道具が使用されました。利休の没後、その子少庵(しょうあん)へと受け継がれ、古田織部(おりべ)の登場により侘び茶の作為性が推し進められました。
「侘びの造形」「ひょうげた美」の小テーマのもとに、伝長谷川久蔵筆の祇園会図(ぎおんえず)(重美・県文)や、千利休作の竹蒔絵浪に亀図二重切花入、真宗大谷派金沢別院蔵の織部沓(おりべくつ)茶碗銘隻履(せきり)など17点を展示します。
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◇江戸時代を中心とした茶道具
織部の没後、時代に大きな影響を与えたのが小堀遠州(えんしゅう)です。織部の新生面を継承し、中国に好みの茶陶を注文、古染付や祥瑞(しょんずい)などを使用して綺麗(きれい)さびの茶風を創造しました。また利休の孫の宗旦(そうたん)や金森宗和(そうわ)、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)たちの活躍も見落とせません。加えて諸藩の大名や武士、あるいは富裕な町人たちも茶の湯を愛好、今日の我が国独自の茶道となって発展しました。
「綺麗さび」「雅の造形」「古典の再生」の小テーマにより、平安時代の源俊頼(としより)筆の古今和歌集巻十七断簡民部切(みんぶぎれ)や、伝本阿弥光悦作の赤楽茶碗銘山科などの逸品32点を展示します。
◇茶碗と香合・水指・釜
茶碗と香合・水指・釜を13点展示します。
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