江戸時代前期の古九谷から、江戸時代後期の再興九谷諸窯までを二期に分け、各期それぞれ57点を公開します。地域別に展示しますので、古九谷の次には、「江沼地区」の再興九谷の名窯として知られる吉田屋窯が登場し、以下、「金沢地区」「能美・小松地区」の柱で構成されます。
[江沼地区]
雄勁な筆致、渋くて深く、しかも厚く彩られた豪放華麗な「古九谷」、そして古九谷の青手の上絵技法を受け継ぐ「吉田屋窯」、赤絵細描で知られる「宮本屋窯」、吉田屋窯の塗埋様式を踏襲する「松山窯」、金襴手で有名な「永楽和全」など古九谷から和全まで、江沼地区の九谷焼の流れが学習できます。
[金沢地区]
京都から青木木米を指導に招き開窯された「春日山窯」は、木米好みの中国趣味を反映したやきものが焼かれたことで知られます。その春日山窯の廃窯を惜しんで操
|
業されたのが「民山窯」で、宮本屋窯に先んじて赤絵細描の仕事がされています。続いてその民山窯の陶画工であった「任田屋徳次」の秀作も登場し、幕末から明治時代の過渡期の作として注目されます。
[能美・小松地区]
再興九谷諸窯の中では、最も息の長い窯として知られる「若杉窯」、また若杉窯や吉田屋窯それ以外の数々の窯に関係した名工「粟生屋源右衛門」、赤絵細描に諸色を加え、繊細優美な作風の「小野窯」、松山窯とともに青九谷と通称される「蓮代寺窯」、幕末から明治の初めにかけ、華麗な彩色金襴手の技法で一世を風靡し、しかも海外に数多く輸出、殖産興業にも大いに貢献した「九谷庄三」までを展示します。
このように地域別・年代順で展示しますと、九谷焼の作風とその流れの比較、あるいは各窯の影響関係、陶工の移動などを理解することができます。
|