1月13日から企画展示室で開催される「中国文明展」にあわせ、当館の所蔵品・寄託品の中から、中国のやきもの15点、漆6点に、中国を描いた日本の絵画2点のあわせて23点を展示し、日本人が憧れた唐物の美を御鑑賞いただきます。
◎西湖図 秋月等観筆
西湖は、中国浙江省の杭州近郊に位置する景勝地です。古くから文人墨客が訪れ、恰好の画題として多くの画家たちに描かれてきました。
作者の秋月(?〜1520)は薩摩の武士の出身で、出家して山口の雪舟のもとで絵を学びました。
この作品は、緻密な描写で俯瞰的に大湖の景を捉えています。その構成力・筆法は、師の雪舟を彷彿とさせるものがあります。秋月は1492年以降に入明していると思われますが、自らの眼で西湖を確認した上で、96年3月に北京で制作されたことが、画面左上の書き込みから知ることができます。
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秋月の数少ない作品の中でも、制作年等が明確な貴重な作品です。
古赤絵金襴手仙盞瓶
仙盞瓶は、盛盞瓶ともいい、語源は明らかではありませんが、その形体は扁平な胴に、細長くのびる注口や華奢な把手が付けられた蓋付の水注です。イスラム圏の金属製の水注の影響と思われる、異国風な趣が観じられます。
金襴手は、明時代の嘉靖年間(1522〜66)に景徳鎮民窯で生産されたものが多く、赤絵金襴手、萌黄地金襴手、瑠璃地金襴手など多くの種類があります。この華やかな美しさは日本で大変好まれ、桃山から江戸時代初期頃にかけて舶載されたようです。
この作品は蓋が欠失し、金彩が剥落していて惜しまれますが、当初は絢爛豪華な趣を呈していたことと推察されます。
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