11月10日(木)〜12月11日(日) 会期中無休
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●没後20年 鴨居玲展 −私の話を聞いてくれ−
                         第7・第8・第9展示室

 鴨居玲が没してはや20年が過ぎようとしています。酔っぱらいや廃兵、しわに埋もれた老婆など醜怪ともいえる姿がいつしか心あたたかく、光輝にすら思えてくる鴨居の作品は、見る者に「命とは何か、人生とは何か」を問いかけます。自己の内面を鋭くえぐり出し、内部の燃えさかる光をカンヴァスに描き出した、その真摯な姿が、人の心を捉えてやまないのでしょう。

 鴨居は新聞記者であった父鴨居悠の赴任地金沢で生まれ、育ち、戦後金沢美術工芸専門学校(現・金沢美術工芸大学)の一期生として宮本三郎に師事し、才能を発揮しました。昭和会展優秀賞、続いて安井賞という輝かしい賞を受賞後、パリそしてスペインへ新天地を求め旅立ちます。スペイン、ラ・マンチャ地方のバルデベーニャスでは、村の人びととの交流を通して、多くの傑作が生み出されました。帰国後は神戸に住み、裸婦や恋人といった新たなテーマに挑み、やがて「1982年 私」を頂点とするおびただしい自画像を描き続けるのでした。

 混沌を極める現在、一人ひとりの内面にある孤独、不安、または運命といった陰の世界を払拭せず、そして愛に対しても正面から対峙した鴨居の作品は、私たちが生きる上で大きな示唆を与え続けるものといえるでしょう。

 本展では、没後20年を迎えるにあたり、初期の自画像から晩年の作品まで、各時期の代表作を中心に未発表の作品を含めた油彩、水彩、素描など110余点を一堂に展示し、鴨居芸術の全容をご覧いただきます。




教会



1982年 私

鴨居 玲(かもい れい)氏 略 歴
昭和3(1928)
2月3日、石川県金沢市中川除町に生まれる
21 (1946)
金沢美術工芸専門学校(現金沢美大)入学
23 (1948)
第2回二紀展初入選
24 (1949)
第3回二紀展褒状受賞 二紀会同人に推挙
25 (1950)
金沢美術工芸専門学校卒業
34 (1959)
最初の渡欧
35 (1960)
二紀会退会
42 (1967)
二紀展再出品、再び同人に推挙
43 (1968)
二紀会会員に推挙
44 (1969)
第4回昭和会展優秀賞
第12回安井賞展安井賞受賞
48 (1973)
第27回二紀展文部大臣賞
52 (1977)
二紀会委員となる
57 (1982)
再び二紀会を退会
59 (1984)
兵庫県文化賞を受賞
60 (1985)
9月7日逝去、享年57歳



巡回会場のご案内
神戸市立小磯記念美術館
 2006年 1月28日(土) 〜3月26日(日)
財団法人ひろしま美術館       4月1日(土) 〜5月14日(日)
長崎県美術館             5月20日(土) 〜7月16日(日)

今回の展覧会図録のご案内→
 ◆観覧料=一般1,000円 (800円) 大学生600円 (400円) 高中小生300円 (200円)
                    (  )内は20名以上の団体料金
 
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