明治大正の工芸
第5展示室
  平成27年10月29日(木)〜12月6日(日) 会期中無休 

 
 近年、明治期の工芸に注目した展覧会が、たびたび開かれるようになりました。その見どころの中心は、今日見ることの少ない「超絶技巧」の技にあるといえます。当館でも、年に一回程度、コレクション展示室において、明治の工芸を特集展示してきました。今回、明治・大正期に制作された工芸コレクションをまとめて展示し、あらためてその時代の特徴的な技や美をご覧いただきたいと思います。
  「工芸」が、美術の一つのジャンルとして確立していくのは、明治に入ってからのことで、当時の国をあげての殖産興業政策にのっとって、海外の需要を強く意識した表現が、作品制作の上に反映されていくことになります。それがいわゆる「超絶技巧」ということになるわけです。本展の出品作でいえば、春名繁春作《色絵金彩海龍図遊環花瓶》にみられる、東洋風の意匠を金や華麗な色で表現した作品、また、多彩な漆の変わり塗りの技法を駆使して、あたかも写実的な絵画作品のように仕上げた柴田是真作《蒔絵蕗に小鳥図額》、さらに、鉄の板を叩いて成形する鉄打出の至難な技によって、力強い狛犬の大作を造形した山田宗美作《鉄打出狛犬》など、時代の息吹を感じていただくことができるでしょう。

no. 分野 作家名 作品名 制作年 初出展覧会・受賞 所蔵
1 陶磁 赤丸雪山 金襴手八岐大蛇退治図双耳花瓶 c.1876 第11回伝統九谷焼工芸展  
2 陶磁 浅井一毫 赤絵金彩貝文花瓶 19〜20c    
3 陶磁 石川県勧業場 色絵金彩花卉図鉢 1876   兼六園管理事務所
4 陶磁 石野竜山 赤絵龍図花瓶 20c   兼六園管理事務所
5 陶磁 内海吉造 色絵楼閣山水図大皿 20c 県展選抜美術展  
6 陶磁 永楽和全 金襴手龍鳳凰文鉢 19c 第25回伝統九谷焼工芸展  
7 陶磁 九谷庄三 色絵金彩花鳥走獣図四方大徳利 19c 第29回日本伝統工芸展  
8 陶磁 清水美山 色絵金彩花詰蓋物 c.1909 第6回伝統九谷焼工芸展  
9 陶磁 初代須田菁華 色絵染付渓流図大皿 20c 第6回伝統九谷焼工芸展  
10 陶磁 竹内吟秋 色絵鳳凰図花瓶 1909 第22回日本伝統工芸展  
11 陶磁 塚谷竹軒 赤絵金彩龍鳳凰図瓢形大徳利 19c 第15回伝統九谷焼工芸展  
12 陶磁 初代徳田八十吉 色絵金彩葡萄文花瓶   第14回改組日展  
13 陶磁 初代中村秋塘 赤絵金彩菊図花瓶   第27回伝統九谷焼工芸展  
14 陶磁 野村善吉 色絵金彩鷹狩図蓋物 1880    
15 陶磁 春名繁春 色絵金彩海龍図遊環花瓶 c.1878 第15回改組日展  
16 陶磁 松本佐平 金襴手官女奏楽図双耳花瓶 1878 第27回伝統九谷焼工芸展  
17 漆芸 大垣昌訓 蒔絵楼閣山水図木目硯箱   第23回伝統九谷焼工芸展  
18 漆芸 川之辺一朝 蒔絵棕櫚に芭蕉図聨 1881 第2回内国勧業博覧会  
19 漆芸 沢田宗沢 蒔絵山水図硯箱      
20 漆芸 初代笹田月暁 蒔絵南天図硯箱 1921 全国特産漆器展覧会 優等賞  
21 漆芸 柴田真哉 蒔絵釣燈籠図額 1877 第1回内国勧業博覧会  
22 漆芸 柴田是真 蒔絵蕗に小鳥図額 1877 第2回内国勧業博覧会  
23 染織 木村雨山 玉蜀黍群虫図 1925 第12回商工省工芸展覧会  
24 金工 八代水野源六 金銀象嵌雪に鷹図香炉 19c    
25 金工 山尾次吉 金銀象嵌唐草文香炉 c.1910    
26 金工 山田宗美 鉄打出鳩置物 1909    
27 金工 山田宗美 鉄打出狛犬 1909    
28 金工 山田宗美 鉄打出布袋置物 19〜20c    
29 金工 十一代宮崎寒雉 金銀象嵌猩々薄端 1882    
30 木竹工 初代池田作美 遠州風彫刻桑材飾棚 1925 第12回商工省工芸展覧会 三等賞  
 コレクション展示
31 陶磁 十代大樋長左衛門 黒絵鳥文楕円壺 1981 第13回改組日展  
32 陶磁 三代上出喜山 金襴手更紗小紋食籠 1972 第19回日本伝統工芸展  
33 陶磁 北出不二雄 薄明円匣 1977 第2回石川県工芸作家選抜美術展  
34 陶磁 武腰 潤 雲中麒麟図扁壺 1991 第14回伝統九谷焼工芸展 大賞  
35 陶磁 三代徳田八十吉 耀彩瑠璃光壷 2008    
36 陶磁 中田一於 淡青釉裏銀彩花文花器 1997 第20回伝統九谷焼工芸展 大賞  
37 陶磁 吉田美統 釉裏金彩秋草譜飾鉢 1982 第5回伝統九谷焼工芸展 優秀賞  
38 漆芸 大場松魚 平文光輪箱 1985 第32回日本伝統工芸展  
39 漆芸 奥出寿泉 乾漆八角盛器 1971 第18回日本伝統工芸展 日本工芸会会長賞  
40 漆芸 寺井直次 金胎蒔絵箱 落日 1994 第41回日本伝統工芸展  
41 漆芸 中野孝一 秋草蒔絵小箪笥 1978 第25回日本伝統工芸展  
42 漆芸 藤井観文 片切沈金彫鴎文棚 1957 第13回日展  
43 漆芸 三谷吾一 双魚飾皿 1976 第1回石川県工芸作家選抜美術展  
44 染織 上野為二 友禅訪問着「暁声」 1938 第27回秋の美展 特選第5席  
45 染織 中山修三 友禅婦人室用衝立 1930 第11回帝展  
46 木竹工 駒沢小太郎 欅造絵替り木盃 20c    
47 木竹工 築城良太郎 欅造筋変り菓子取皿 20c    
48 人形 紺谷 力 豊穣の歓び 1995 第42回日本伝統工芸展  
49 截金 西出大三 截金桧長盤「隠沼」 1985 第32回日本伝統工芸展  
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