;特集 芳春院まつ
前田育徳会尊經閣文庫分館
    平成27年9月12日(土)〜10月25日(日)  会期中無休

 
 加賀藩祖・前田利家の夫人まつ(1547〜1617)を紹介する特集展示を開催します。
 まつは尾張国海東郡沖之島(現・愛知県海東郡七宝町沖之島)で生まれますが、父・篠原氏の死により母が高畠氏に嫁したので、4歳の時に母の妹が嫁している同郡荒子(現・名古屋市中川区荒子)の領主・前田利春に養育されることになります。12歳の時に幼なじみで従兄妹にあたる利家(利春の四男)と結婚、翌年には長女の幸が生まれ、その後、長男・利長をはじめ二男九女の母となります。そして夫利家とともに二人三脚で、戦国の世を生き抜き、加賀百万石の礎を築いた女性です。
 春に開催した「加賀前田家 百万石の名宝」で紹介したように、前田利家は「文武二道」の精神の下に生きた武将ですが、まつにもその精神性を見ることができます。そうした観点から、今回展示する肖像画や消息をはじめ、まつが描いた「達磨像」、芳春院所用と伝わる「短刀」(銘「備州長船春光」・初公開)などにまつその人を偲んでいただきたいと思います。
 殊に、消息のそのほとんどが、末娘で家臣の村井家に嫁した千世(春香院)宛で、利家の死後、加賀藩を守るために人質として江戸へ下向した後のものであり、芳春院として生きた晩年を伝えるものです。そこには、赤裸々な心情の吐露や、子供を想う母の姿を認めることができます。その他、文台や硯箱などを合わせて展示します。


  作品名 作者名 員数 年代
1 芳春院画像  總持寺本模写 篠原探谷筆 1幅 明治24年
2 前田利家画像 總持寺本模写 篠原探谷筆 1幅 明治24年
3 芳春院消息  安養坊あて  11月13日付   1通 桃山17世紀
4 芳春院消息  千世あて  7日付   1通(2枚) 桃山17世紀
5 芳春院消息  千世あて  3月11日付   1通 桃山17世紀
6 芳春院消息  千世あて  9日付   1通 桃山17世紀
7 芳春院消息  千世あて  29日付   1通 桃山17世紀
8 芳春院消息  村井出雲守(長次)あて  22日付   1通 桃山17世紀
9 芳春院消息  春香院あて  12日付   1通 桃山17世紀
10 芳春院消息  春香院あて  19日付   1通 桃山17世紀
11 芳春院消息  春香院あて  21日付   1通 桃山17世紀
12

芳春院消息  春香院あて  28 日付

   1通 桃山17世紀
13 芳春院消息  春香院あて  4日付   1通 桃山17世紀
14 達磨図 伝芳春院筆 玉室宗珀賛 1幅 桃山16〜17世紀
15 達磨図 伝芳春院筆 玉室宗珀賛 1幅 桃山16〜17世紀
16 短刀 銘 備州長船春光    芳春院所用   1口 室町16世紀
17 前田利長印判状 村井出雲守(長次)あて 5月3日付   1通 桃山17世紀
18 芳春院消息  春香院あて     1通 桃山17世紀
19 女三十六歌仙色紙雉図   1双 江戸17世紀
20 ?露硯   1面  
21 象牙朱塗筆軸   1本  
22 銅獅子筆架   1個 明14〜17世紀
23 銅福禄寿文鎮   1個  
24 白玉?龍鈎筆架   1個  
25 白磁秋海棠式筆点   1個  
26 紅水晶水盂   1個  
27 秋野歌書蒔絵小硯箱   1合 室町16世紀
28 蒔絵広蓋    3枚1組 江戸18世紀
29 黒塗薄蒔絵文台・硯箱   1合 江戸17〜18世紀
30 霰蒔絵小挟箱   1合 江戸17〜18世紀
31 黒塗秋草蒔絵小文箱   1合 江戸17〜18世紀
32 『芳春院小伝』 近藤磐雄著 1冊 大正6年刊
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