季節を想う・風景を謳う(絵画・彫刻)
第4・6展示室
 平成27年9月12日(土)〜10月25日(日)  会期中無休
 

 四季の彩りが豊かな我が国では、古くから季節の移ろいに敏感で、季節を愛でる言葉が豊かにみえるように、季節感の表現は我が国の美術・文学作品の主要なテーマのひとつとしてあり、季節に関連し多情な感性を盛り込んだ作例が今日に生き続けています。また我が国の風景画では、単に自然景観の再現に止まらず、四季の情景表現から理想的景観の創出。またモチーフの自然に内在する気韻・気勢の表出、さらには風景に仮託して作家の精神・心情表出など多彩な表現が発展し、深遠で多様な風景画世界を構築してきています。なお彫刻においても、季節や風景・情景をタイトルにする作品や、季節や情景からの連想をテーマにした作品も多くみえるように、分野を問わず我が国の近現代美術においても共有するテーマになっているものといえましょう。以下、各ジャンルの代表的な作例を紹介します。
 日本画では、紺谷光俊筆《秋宵》は、薄の原に狐を描き満月を暗示する丸窓を穿ち、秋景を表す屏風装の作品です。洋画の藤本東一良筆《陸に上がった船》は、浜辺の船の舳先・船尾、舟底・甲板の対比に、正逆の透視法を組み合わせ、風景を再構成した作品です。彫刻では、銭亀賢治作《去りゆく夏》は、タイトルからの連想も含め晩夏の人気のない浜辺の哀愁を感じさせる作品です。


No. 作 品 名 作 者 名 制作年 初 出 展 受 賞
 日本画
1 武蔵野 稲元 実 1990 改組第22回日展
2 船と人 坂根克介 1971 改組第3回日展
3 日曜日 百々俊雅 1993 改組第25回日展
4 中出信昭 2000 改組第32回日展
5 かえりみち 西 敏彦 1995 改組第27回日展  特選
6 残照 西山英雄 1982 改組第14回日展
7 ベンチ 仁志出龍司 1989 改組第21回日展
8 畠山錦成 1956 第12回日展
9 寂寞 原田太乙 1951  
10 東山魁夷 1954 第10回日展 
11 刻の堆積 古澤洋子 2003 改組第35回日展 特選
12 校庭 松崎十朗 2001 改組第33回日展
13 うねる 山田 毅 2007 改組第39回日展
14 質屋 山本 隆 1991 改組第23回日展
15 古樹木兎図 今尾景年 c.1921  
16 街道杉 石川 義 1994 石川義展−杉の輪廻−(1994)
17 秋宵 紺谷光俊 昭和  
 油彩
1 農夫とカラス 浅井 忠 1891  
2 春闌 小絲源太郎 1962 第1回国際形象展
3 鶴仙渓の春 高光一也 1954  
4 芽吹き 村田省蔵 2011 第43回改組日展
5 大地と集落 森本仁平 1995 森本仁平展
6 杏花 金山平三    
7 びわ 中村研一 1959  
8 大浦天主堂の眺め 中川一政 1957  
9 風蝕・南瓜UC 能島芳史 2013  
10 素晴らしい眺め 硲伊之助    
11 麦秋 硲伊之助 1960  
12 ニースの灯台 藤本東一良 1982  
13 朝の湖 宮本三郎 1947 第1回現第美術展
14 秋雨去来 高光一也 1960  
15 街角に秋 前田さなみ 1979 第47回独立展
16 山間 塗師祥一郎 1983 第15回改組日展
17 判 三教 2003 第49回一陽展
18 斑雪 村田省蔵 2008 第40回改組日展
 水彩
1 浅井忠    
2 或る風景 白尾勇次 1985  
3 中国従軍スケッチ 南政善 1938  
4 中国従軍スケッチ 南政善 1938  
 彫刻
1 畝村直久 1961 第4回新日展 文部大臣賞
2 古代への想い 石田康夫 1981 第13回改組日展
3 春を包む 矩幸成 1936 第1回東方彫塑院展 時代賞わかもと賞
4 スパイラル3-TUKI 木戸修 2012  
5 久遠 木村珪二 1965 第8回新日展
6 UNITY-8 台地から空間へ 島屋純晴 1984 第23回北陸中日美術展 大賞
7 田中太郎 1975  
8 歌姫 得能節朗 1984 第16回改組日展 会員賞
9 草笛 中島東洋 1928 第9回帝展
10 曲芸師 三谷慎 1984  
11 身辺モデル-類似化 宮崎豊治 1985  
12 弁証法的リング 山下晴子 1986  
13 吉田三郎 1954  
14 米林勝二    


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