「春の優品選」 【工芸】  第5展示室
 平成27年4月19日(日)〜6月7日(日)会期中無休 ※前期:4月19日〜5月13日 後期:5月14〜6月7日

 
 工芸作品の意匠表現は、抽象的・幾何学的なものから、動物、人物、自然現象に関する具象的なものなどさまざまですが、中でも植物は、人々の暮らしの中で目を楽しませ心を癒す格好のモチーフとして取り上げられてきました。
 今回、近現代工芸部門のコレクション展で展示する作品の中には、やはり草花を主題とした作品が多く見受けられます。その中で、四月から六月にかけて春の季節を中心に開花する草花を意匠とした陶芸作品を紹介してみましょう。

(1)中 憲一作《爛漫》平成15年
 春の花の代名詞といえるサクラ。その満開の花を、白地の上に細かく描いています。花びらはピンクで淡くぼかし、花心の部分や空間に舞う花びらに、金をほどこして、柔らかな春の日差しを感じさせます。

(2)中村研一作《カーネーション図皿》昭和29年
母の日の贈呈用として知られるカーネーションを九谷五彩(赤・黄・緑・紺青・紫)で、華麗に彩っています。作者は、初代德田八十吉の窯で絵付けを行い、本業である油彩画を思わせる生き生きとした絵画的表現に腕をふるいました。

(3)板谷波山作《葆光彩磁チューリップ文花瓶》大正6年頃
わが国の近代陶芸界の巨匠である作者は、明治29年石川県工業学校に赴任したことがきっかけで陶芸の道に進むことになりました。本作には、波山独特の『葆光彩磁』と呼ばれるマットな輝きを呈する釉薬に包まれた、モダンな姿のチューリップが表現されています。

(4)石黒宗麿作《白地黒絵あじさい文壺》昭和25年頃
作者は、昭和30年「鉄釉陶器」の重要無形文化財保持者に認定されています。本作は、白地に鉄釉をかけ、それが乾かないうちに線描であじさいの花を線刻しています。ラフなタッチが素朴な味わいをかもし出し、心地よいリズム感を感じさせます。

NO 分野 作家名 作品名 制作年 展覧会
1 陶磁 二代浅蔵五十吉 池の中のたわむれ飾鉢 1962 第5回新日展
2 陶磁 石黒宗麿 白地黒絵あじさい文壺 1950  
3 陶磁 板谷波山 葆光彩磁チューリップ文花瓶 1917  
4 陶磁 十代大樋長左衛門 飾りのある花器 1982 第21回日本現代工芸美術展
5 陶磁 四代 上出喜山 金襴手五彩花文飾皿    
6 陶磁 北出塔次郎 陶製モザイク平安図飾筥 1962 第5回新日展
7 陶磁 北出不二雄 青釉「春過ぐ」 1993  
8 陶磁 武腰 潤 色絵四方台皿「ぼたん」 1996 第19回伝統九谷焼工芸展 大賞
9 陶磁 竹田有恒 萌黄釉裏金彩歯朶文鉢 1961 第8回日本伝統工芸展
10 陶磁 田村敬星 色絵華文陶筥 1992 第15回伝統九谷焼工芸展 奨励賞
11 陶磁 三代徳田八十吉 燿彩鉢 1986 第9回伝統九谷焼工芸展
12 陶磁 中 憲一 爛漫 2003 第26回伝統九谷焼工芸展 優秀賞
13 陶磁 中田一於 淡青釉裏銀彩四方鉢 1991 第14回伝統九谷焼工芸展 技術賞
14 陶磁 中村研一 カーネーション図皿 1954  
15 陶磁 中村翠恒 「融和」壺 1969 第1回改組日展
16 陶磁 長谷川塑人 九谷色絵妖精舞大鉢 2006 第29回伝統九谷焼工芸展 奨励賞
17 陶磁 吉田美統 釉裏金彩泰山木文飾鉢 1984 第31回日本伝統工芸展 日本工芸会奨励賞
18 陶磁 吉田幸央 彩色金彩花器 2009 第32回伝統九谷焼工芸展 大賞
19 陶磁 米山 央 1993 第16回伝統九谷焼工芸展 大賞
20 漆工 板谷光治 沈金素彫群漆箱 1981 第28回日本伝統工芸展
21 漆工 大場松魚 平文輪彩提盤 1984 第2回全日本伝統工芸選抜作家展
22 漆工 奥出寿泉 乾漆輪花香盆 1970 第17回日本伝統工芸展
23 漆工 角偉三郎 漆箱「時雨」 1983 第1回全日本伝統工芸選抜作家展
24 漆工 二代呉藤友乗 朱溜塗鉢 1975 第22回日本伝統工芸展
25 漆工 佐治賢使 肉合研出宇豆良水指 1946 第1回日展 特選
26 漆工 寺井直次 山法師蒔絵金胎盤 1989  
27 漆工 寺西弥生 乾漆盛器 つれづれ二羽の蝶 1994 第50回現代美術展
28 漆工 二代砺波宗斎 蘭花文蒔絵箱 1978 第25回日本伝統工芸展
29 漆工 二木成抱 熊谷草蒔絵棚 20世紀  
30 漆工 前 大峰 蒔絵草図盆 1944  
31 漆工 松田権六 流水桜文蒔絵神代欅棗 1977  
32 染織 木村雨山 友禅訪問着「金鶏」 1959 第6回日本伝統工芸展
33 染織 木村雨山 友禅訪問着「あじさい」 1970 第17回日本伝統工芸展
34 染織 羽田登喜男 友禅訪問着「群鴦惜春」 1989 第36回日本伝統工芸展
35 染織 羽田登喜男 友禅白地紫陽花文訪問着「清裳」 1966 第2回個展
36 染織 二塚長生 友禅着物「波動」 1995 第32回日本伝統工芸染織展 文化庁長官賞
37 染織 二塚長生 友禅着物「新潮」 2003 第50回日本伝統工芸展
38 染織 毎田仁郎 友禅訪問着「創生」    
39 染織 毎田健治 友禅訪問着「ねじ花」 1985 第32回日本伝統工芸展
40 染織 中儀延 柄分—本縞付下 1979 第4回石川県工芸作家選抜美術展
41 染織 坂口幸市 小紋着物「松葉」    
42 截金 西出大三 木彫截金彩色宝石筥「花と蝶」 1961 第8回日本伝統工芸展
43 截金 西出大三 截金桧長盤「おしどり」 1986 第33回日本伝統工芸展
44 木竹工 川北良造 兼六園姫小松造水指 1998  
45 木竹工 灰外達夫 神代杉挽曲造木象嵌食籠 2014  
46 ガラス   レース・グラス蓋付大杯 16c  
47 ガラス   スクタン・マーリク・ウマイヤード・ダーウッド銘鶴首瓶写 1870  
48 ガラス   白被カットエナメル金彩銀脚貝形器 c.1830  
49 ガラス   白被カットエナメル金彩銀脚コンポート c.1840  
50 ガラス   エナメル彩アラビア人物文薔薇水甁 18c  
51 ガラス   ルビーガラス瓶 c.1680  
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