当館の近現代作品の収集は、地域文化の集積を目指し、石川県の歴史、美術工芸の伝統をふまえた石川県の地域文化に関係ある作品を中心に行っています。したがって、他県の美術館で見られるように、国外作家や明治以降の著名な日本人作家の作品を主体に、地元作家を加味して展示室を構成するということはありません。美術ファンの方々であればまず知っている作家の名が見られず、石川ゆかりの作家の大作がずらりと並んでいることに驚かれるかもしれません。しかし、各地の美術館が同じ様な作家を並べる必然性はなく、旅先ではその地の作家を知り、作品を味わっていただいてこそ、全国に数多くの美術館がある意義と意味があるのではないでしょうか。
　北陸新幹線が開業し、ゴールデンウィークを交えたこの期間中は多くの方々が石川を訪れることでしょう。今回の特集は、まさに県外の方々に、石川ゆかりの作家と作品を知ってほしいという思いで開催するものです。
　第３展示室では主に鴨居玲「蜘蛛の糸」、宮本三郎「裸女達に捧ぐ」、高光一也「カサブランカ」などの油絵、第４展示室では吉田三郎「山羊を飼う老人」、松田尚之「人魚」、畝村直久「和」などの彫刻を、そして第６展示室では西山英雄「火焔山」、石川義「経堂への道」、畠山錦成「鵜」などの日本画を展示します。さらに、油絵では白山市立松任中川一政記念美術館所蔵の中川一政「向日葵ピカソ壷」と「駒ヶ岳」を特別展示します。

油彩画 　＊鴨居 玲 作 「１９８２年 私」は５月14日までの展示です。