香をかざる・茶をたのしむ
 第5展示室
  平成27年1月4日日曜日〜2月8日日曜日 会期中無休     

 1階企画展示室で開催中の「高山右近とその時代」にあわせて、近現代工芸部門でも茶の湯に関わる展示を行います。工芸作家も茶道人口も多い石川県は、日展や伝統工芸展に出品する作家が、季節の茶会に合わせた新作茶道具を制作することも珍しくありません。
 今回は香合や香炉、香盆など、香道や茶道の炭点前を彩る道具をはじめとした茶道具、美術工芸品の実用品としての側面にスポットを当てた展観です。残念ながら展示室では香りをご提供できませんが、さまざまな装飾が施された作品から、お好きな香りを想像してお楽しみいただきます。
 茶道具では、少々季節が早いのですが、松田権六による棗の優品「流水桜文蒔絵神代欅棗」を展示します。この素地は、現在木工芸の人間国宝である川北良造が挽いています。併せて川北が兼六園の姫小松で制作した棗もご覧いただきます。
 また突き当たりの展示ケースでは、茶道具の取り合わせ展示として、梅尽くしで作品を合わせます。友禅の人間国宝・木村雨山が描いた梅花の軸、蒔絵の人間国宝・寺井直次の「金胎蒔絵水指 梅」、茶碗の名手としてつとに知られた九代大樋長左衛門による「黒釉内梅花紋茶わん」、朱漆と黒漆の一対である、上棚宗佐「朱黒漆塗梅形中次」に加えて、十三代宮崎寒雉の「霰真形釜」の松の側を出し、竹を編んだ盤に漆を塗り上げた小森邦衞の「籃胎提盤」を合わせることで松竹梅としました。新年を寿ぐ展観としてもお楽しみください。

No. 分野 作家名 作品名 制作年 初出展・受賞
1 陶磁 石黒宗麿 鉄絵笹文茶碗 昭和10年代    
2 陶磁 石黒宗麿 黒釉指頭描茶碗 昭和15年頃    
3 陶磁 石黒宗麿 赤絵茶碗 昭和15年頃    
4 陶磁 石黒宗麿 刷毛目線刻文字平茶碗 昭和15〜19年    
5 陶磁 石黒宗麿 千点文筒茶碗 昭和15〜19年    
6 陶磁 石黒宗麿 青磁茶碗 昭和15〜19年    
7 陶磁 石黒宗麿 彩釉チョーク描鳥文平茶碗 昭和27年頃    
8 陶磁 石黒宗麿 梅華皮筒茶碗 昭和30年代    
9 陶磁 石黒宗麿 斑唐津平茶碗 昭和40〜44年    
10 陶磁 石黒宗麿 氷裂釉茶碗 昭和40年頃    
11 陶磁 九代大樋長左衛門 黒釉内梅花紋茶わん 昭和55年 第5回石川県工芸作家選抜美術展
12 陶磁 九代大樋長左衛門 海老耳端反水指 昭和45年頃    
13 陶磁 十代大樋長左衛門 渦紋筒水指 昭和45年頃  
14 陶磁 金重陶陽 備前花器 昭和25年頃    
15 陶磁 初代須田菁華 染付水禽文八角香炉 大正     
16 陶磁 松原新助 白磁龍鳳凰透彫香炉 明治21年頃  
17 漆工 上棚宗佐 朱黒漆塗梅形中次 昭和    
18 漆工 音丸耕堂 彫漆鉄線茶器 昭和  
19 漆工 小森邦衞 籃胎提盤 平成5年 第40回日本伝統工芸展 
20 漆工 二代笹田月暁 水車蒔絵平棗 昭和30年頃    
21 漆工 寺井直次 金胎蒔絵水指「梅」 昭和50年 第22回日本伝統工芸展
22 漆工 寺井直次 椿蒔絵香合 平成8年    
23 漆工 寺井直次 梅蒔絵香合 平成8年    
24 漆工 初代西村松逸 扇面蒔絵平棗 昭和44年    
25 漆工 八代西村彦兵衛 蒔絵螺鈿片輪車文香合 昭和2年頃    
26 漆工 松田権六 千鳥蒔絵香合 昭和45年    
27 漆工 松田権六 流水桜文蒔絵神代欅棗 昭和52年    
28 漆工 三谷吾一 鳥香合 昭和54年    
29 漆工 村上九郎作 堆朱布袋図香合 大正5年頃    
30 漆工 保谷美成 流水平棗 昭和58年  
31 漆工 吉田楳堂 堆漆茶杓 昭和43年    
32 漆工   蒔絵孔雀図香合 明治   
33 漆工 奥出寿泉 乾漆香盆 昭和45年   
34 漆工 佐治賢使 螺鈿からたち香盒 昭和16年   
35 金工 三代魚住為楽 砂張水指 昭和57年 第7回石川県工芸作家選抜美術展
36 金工 佐々木象堂 鋳銅秋景山水文花入 大正  
37 金工 八代水野源六 金銀象嵌雪に鷹図香炉 明治  
38 金工 十三代宮崎寒雉 霰真形釜 昭和43年  
39 金工 米沢弘安 金銀象嵌紅葉狩図香炉 昭和8年頃  
40 金工 米沢弘安 金銀象嵌鴛鴦香炉 昭和45年  
41 金工 高橋介州 加賀象嵌鴛鴦香炉・香合 昭和15年 日本現代工芸美術展 商工大臣賞
42 金工 金岡宗幸 砂張小田巻香炉   第18回日本伝統工芸展
43 木竹 川北良造 姫小松造水指 平成10年     
44 木竹 川北良造 姫小松造平棗 平成10年     
45 木竹 氷見晃堂 桑縁櫛形風炉先 昭和44年     
46 木竹 橋本仙雪 竹網代茶籠 昭和51年 第1回石川県工芸作家選抜美術展   
47 木竹 福田芳朗 神代欅花文象嵌食籠 平成7年 第42回日本伝統工芸展
48 染織 木村雨山 友禅赤地吉祥文振袖 昭和27年      
49 染織 木村雨山 友禅黒地吉祥文振袖 昭和22年  
50 染織 坂井教人 友禅訪問着「萌春」 平成18年 第40回日本伝統工芸染織展 日本経済新聞社賞
51 染織 坂口幸市 付下小紋「春の流れ」 昭和56年 第28回日本伝統工芸展 日本工芸会奨励賞
52 染織 三代中川華邨 友禅打掛「千代の栄」 昭和31年      
53 染織 羽田登喜男 高雅縮緬地友禅訪問着「越前花野」 昭和54年 第26回日本伝統工芸展
54 染織 毎田仁郎 友禅訪問着「早春」 昭和55年 第27回日本伝統工芸展 奨励賞
55 日本画 木村雨山 梅花図 昭和      
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