墨の美[書]
第3展示室
 平成27年1月4日日曜日〜2月8日日曜日 会期中無休     

  書の鑑賞といえば、何が書いてあるかわかるところからはじまると思いがちです。その時点で、「書はわからない」というイメージを抱いてしまう方も多いのではないでしょうか。絵画や彫刻などの鑑賞では、その制作意図や主題がわからなくても自然にその造形や描写が鑑賞されていますが、このような感覚での「作品をみる」という鑑賞の基本が、書ではこの「読めない」というウィークポイントによって妨げになっているように思われます。そこで、書の作品を読むことに固執せず、作品が「わかる」ではなく、 見ることを楽しむ ような鑑賞方法をご紹介します。
 書は文字の形や線、全体の構成など視覚芸術としての多くの魅力を持っています。まず、好きと思える作品を見つけ、絵画を見る時と同じようにこの形がいいとか、バランスがいいといった調和のとれた構成の美しさを自分なりに見つけてみましょう。次に、書独自の要素である筆線を追って見てみます。展示室ならば手のひらに指先でなぞることで、筆の流れ、リズム、筆触、線質など書き手の意識に思いを馳せ、作者の制作体験を追体験できることでしょう。その中で自分がなぜその作品がいいと思ったのか、その作品の良さを「見つける」ことや「気づく」ことを目指して作品と対話してみてはいかがでしょうか。
 今回の「墨の美」の展示では、今まで書の作品には関心のなかった方にも、このような書の作品との対話で、作品が語りかけてくれる書の美の特性に眼を向けてみるきっかけになることを願っています。

No. 技法 作者名 作品名 制作年 初出展覧会 員数
1 墨書 青山杉雨 独嘯 昭和36年   1面
2 墨書 赤羽雲庭 間居幽事多 昭和36年   1面
3 墨書 江川碧潭 大無心 昭和36年   1面
4 墨書 大石隆子 万葉歌 昭和36年   1面
5 墨書 金田心象 破離 昭和55年 第12回改組日展 1面
6 墨書 小坂奇石 虚心 昭和36年   1面
7 墨書 鈴木翠軒 行觴 昭和36年   1面
8 墨書 炭山南木 七言二句 昭和36年   1面
9 墨書 手島右卿 昭和36年   1面
10 墨書 中田幸子 昭和56年 第13回改組日展 1巻
11 篆刻 中村蘭台 和光同塵 昭和35年   1面
12 墨書 久田鶴南 暁雲 昭和57年   6曲1隻
13 墨書 久田鶴南 雪似鵞毛飛散乱 平成元年   2幅
14 墨書 日比野五鳳 かも 昭和36年   1面
15 墨書 平尾孤往 論語郷党篇 昭和36年 1面
16 墨書 松井如流 干古心 昭和36年   1面
17 篆刻 松丸東魚 当恕酔人 昭和35年   1面
18 墨書 宮本竹逕 万葉歌 昭和36年   1面
19 墨書 柳田泰雲 寒山詩 昭和36年   1面
20 墨書 豊道春海 林希逸七言対句(静と和) 昭和38年 第6回新日展 2曲1隻
21 墨書 吉田北辰 六勝屏風 昭和30年 第3回北国書壇展 6曲1隻

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