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学芸員コラムColumn

2019年9月12日展覧会【美術館小史・余話19】広報活動の開始(1)

※本コラムは平成12年から平成16年にかけて、当館館長・嶋崎丞が「石川県立美術館だより」において連載したものの再録です。

 先号までに述べてきたように、視聴覚機器を使用して、展示室での列品解説を実施した美術館としては、旧石川県美術館が戦後における最も早い時期に属する機関であったのではないかと思っている。
 しかし開館 して10年近くを経てくると、入館者数の頭打ちの問題が外部から指摘され始め、やがて「美術館が、今何をしているのかがよく分からない」と、広報を含めての情報不足に対する意見も、多く寄せられるようになってきた。
 そこで内部で種々検討の結果、美術館での事業を地域に住む人々に対してお知らせする広報紙のようなものを作ったらどうか、ということになった。
 とはいえ、いざ広報紙を作るとなると、何部印刷するか、その費用の確保予算化をどうするか、作ったものをどこに送付するか、郵送料は…等々、話し合えば合うほど、年度途中では実現不可能になってくることが見えてくる。
 そこで一つの案として出されたのが、今日でいうダイレクトメール方式の葉書戦術である。葉書なら印刷コストや郵送料も安くつき、すぐ実施できるのでは、ということだったのだが、それでも経費のことがネックになった。
 結局、葉書広報希望の方に経費を負担していただこうという形で落ち着いた。確か年間150円で10回発行であったかと思う。
 このことを新聞、ラジオを通して希望者を募ったところ、大変な反響を呼び、600名近くもの申し込みがあった。そこでこれらの人々を中心に、今日の「友の会」、当時は「美術館愛好会」 を組織することになっ た。
 このことにより入館者も徐々に増加し始めたのは事実である。

  (嶋崎丞当館館長、「石川県立美術館だより」第220号、平成14年2月1日発行)

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