学芸員コラムColumn
2019年1月18日展覧会#42 大正美人画と広告
企画展「石川近代美術の100年」関連連載その3
紺谷光俊などが描く大正期の美人画の特徴は、長いまつげに潤んだ瞳が印象的なことではないでしょうか?江戸や明治のころは引き札とよばれていたチラシ広告、それにポスター、雑誌の表紙絵や口絵などなど、大正期、美人をモデルとしたデザインは巷にあふれていました。それらの多くはうるんだ瞳の令嬢であることが多く、よく知られたところでは本展でも取り上げた北野恒富や竹久夢二などですね。たとえば光俊が直接彼らから影響を受けたわけでなくとも、それらのデザインや美人画は大正期の主流であり、自然と描く絵に共通点が出たとしても不思議ではないでしょう。(学芸専門員 前多武志)