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学芸員コラムColumn

2018年7月8日その他【美術館小史・余話7】展示室の運用

※本コラムは平成12年から平成16年にかけて、当館館長・嶋崎丞が「石川県立美術館だより」において連載したものの再録です。

 前号で述べたように、昭和34年の旧石川県美術館開館記念展は、全展示室を使用して県内に所在する指定文化財を中心とした「名宝展」を開催したが、その展示も11月15日で終了するので、その後の展示室の運用をどうするかが大きな課題であった。
 特別展示室は、最初から国宝の色絵雉香炉を常時公開するための専用展示室として設計されていたもので、他の3室をどうするかということである。
 県総務課から引き継いだ作品数は770点であったが、それらの大部分は旧商品陳列所の収蔵品であり、美術館の展示としてふさわしいものとなると、200点あるかないかという有様であった。
 それらのうち、九谷焼関係を第3展示室で常設展示することは可能であったが、残りで第1と第2展示室を埋めるには質的に問題があり、収蔵品の常設展示は第2展示室のみとして、1階の第1 展示室は今でいう企画展示室として運用することとした。
 そこで急遽県内で活躍中の日展と日本伝統工芸展に所属する作家23名を選んで出品依頼を行ったところ、全員の作家より快諾が得られ、「郷土工芸作家美術展」(昭和34年11月19日〜12月29日)として無事開催することができたのである。
 この展覧会は、準備から開催までの期間がわずか20日という短期間で、今考えればまさに離れ業であったが、これは石川の地が工芸王国であり、作家の方々の協力があったればこそ実現できた展観だといえる。 ちなみに現存作家は4名のみとなってしまった。
(嶋崎丞当館館長、「石川県立美術館だより」第208号、平成13年2月1日発行)

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