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学芸員コラムColumn

2016年10月22日展覧会#018 群馬、そして官展三羽烏

企画展の彫刻部門展示では、偶々の一致が見受けられます。ひとつは作品で「群馬」並びがみえることです。佐藤忠良作「群馬の人」(群馬出身の詩人岡村喬がモデルとのこと)、舟越保武作「萩原朔太郎」(群馬出身の詩人で「近代詩の父」)は、モデルが群馬県人繋がりです。そして奇しくも展示後分かったのですが、同室には坂本繁二郎の「母仔馬」(馬の親子図)が掛かっていて、かの有名な童謡「おうま」(♪ お馬の親子は仲良しこよし…♪)の作詞者、林柳波も群馬県出身でした。なお萩原朔太郎は今年、生誕130年の記念の年回り。群馬県の皆さ~ん、是非、当展にもご注目ください。

8室の等寸大からの人体像の作者は、朝倉文夫、北村西望、建畠大夢の官展三羽烏です。この三氏、国会議事堂内の大隈、板垣、伊藤の元勲像の各作者であると申せばその立ち位置も分かりやすい。これらの像に澤田政廣作の木彫の大作、計4体の人体像の顔は揃って俯き目を閉じた姿です。明治の銅像(≒顕彰像)では像主の人格と人品の表現が求められ、特に眼(眸子)表現に力点が置かれた -所謂、目が生きている、死んでいるとかいう-。しかし大正以降、大正ロマンの言葉のように、耽美・感傷的な情感がもてはやされ作品タイトルに見るようにロマンチズム系の作品がみえるようになる。これも近代日本が確立した一つのスタイルであったといえましょう。(北澤寛)

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