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学芸員コラムColumn

2016年9月18日展覧会#11 お国はどちら? 漆工編

漆工 展示風景

展示風景

 漆の世界にも他の工芸分野と同じように、特定の土地、あるいは作家によって発展してきた技法があります。今回はその一部、よく似ているけどちょっと違う。2つの技法をご紹介します。
 
「沈金」 ちんきん
石川県・輪島で伝統的に用いられ、前大峰によってやわらかい表現もできるように。
中国で「鎗金」と呼ばれる技法とほぼ同じです。
漆面を鑿で彫り、その溝に金箔や金属粉を押しこみます。出品作でいうなら前大峰《沈金彫猫之図大皿》に沈金、髙橋節郎《化石譚》には鎗金の技法を見ることができます。
 
「蒟醤」きんま
香川県・高松を中心に用いられていますが、源流は東南アジア。江戸時代に高松の漆工家・玉楮象谷が技法を会得し、その後も高松からは人間国宝の磯井如真などが輩出しています。 沈金と同じように漆面を削りますが、このとき使う道具を「剣」と呼び、さらに金箔などでなく、色漆を埋めていくのが蒟醤。赤や黄などあざやかな色彩を用いることも多いんです。 今回は磯井如真《蒟醤草花文八角食籠》が出品されています。

 ほかにも六角紫水のアルマイト、高野松山の木地蒔絵、音丸耕堂の彫漆など、ふだんなかなか目にすることのない作品がたくさん。どうぞ漆のひろーい世界をお楽しみください!
(学芸員 有賀 茜)

 

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