学芸員コラムColumn
2016年7月6日展覧会#7 山崎百々雄の魅力 3
筆ネイティブということばを見聞きすることが多くなりました。美術史家山下裕二氏の発案したことばで、もの心ついた時から鉛筆やペンではなく、筆を持っていた人を指すそうです。どこへいくにも矢立を持参したという上村松園ら明治の画家たちが、最後の筆ネイティブになるかもしれません。
さて山崎百々雄も、新聞小説の挿絵という万単位の読者に触れる作品を、来る日も来る日も筆で描き続けた画家です。その筆はこびは、渇筆から、にじみやぼかし、筋目描きにいたるまで、ネイティブの域に優に到達しているものです。どうぞ間近でご覧ください。(学芸専門員 前多武志)
追記(2016/7/7)
金沢経済新聞に展覧会情報が掲載されました。